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山口市吉田地区には、山口県の国立大学である山口大学がある。非常に縦長い形をしており、その奥行きはかつての長屋のような細さである。
山口大学の地下には、かつて巨大遺跡が眠っていたことをご存じであろうか。「木の皮をめくってしまうと呪いがつく」という噂が残るスギの噂を知っているだろうか。
謎の多い学術街、山口市吉田地区を観光地化していく。
著者の母校、山口大学がある街です。
吉田遺跡
山口大学のキャンパスが建つよりもはるか昔から、えらく遺物が発掘される地域だったらしい。室町時代からの農村地域だった吉田地区は、土地に大きな被害もなくここまで来た。
発掘されたのは、旧石器時代~近代までの幅広い時代の遺物である。古墳時代の竪穴住居が4棟も発見されたらしい。なかなかにロマンあふれる模様である。しかし興味がない人には、まるで興味がないだろう。
遺跡のどこか面白いのだろうか。このように考えてみると、僕は「そこには人間がいたのだ」と考えるのが面白いのだと思うのだ。
かつてそこには、人間がいたのだ。ボクと同じように「明日をどうやって生き延びようか」と考えながら眠りにつき、朝起きれば釜の飯を食う人間がいたのだ。
彼らは現代人である我々と、まるで思考が違うのだ。死ぬことが名誉だと思っている人間もいれば、貧乏でも幸せいっぱいに生きた人間もいたというのだ。
そういった「人間が生きていた」。こんなものは、狂って面白いではないか。
平川の大スギ
平清水八幡宮の奥地には、根元周り10.5メートル、樹高35メートルもある巨大な大スギがある。古代より「霊木」としてまつられており、人々は大スギに祈りを捧げていた。
病に苦しむときは、その樹皮を噛んだ。そうすると病が良くなるという言い伝えである。思い込みというのは案外効果があるらしく、薬だと思って飴をなめれば具合が良くなるとか。そういう塩梅だろう。
しかしあやまって樹枝を折ってしまうと、奇病にかかる。そういう言い伝えがある。絶対にこの樹枝を折ってはならない。遊び半分で試してみたくなる気持ちもわかるのであるが。
平清水八幡宮
山口の神社の中でも創建が最も古く、室町時代前期だと言われている。大分県の宇佐八幡宮から神霊を迎えた神社らしく、この地を守っている神様としてまつられている。
神社の右側にあって泉の水量がいつも一定であるので、「平清水」という名前が付けられたらしい。
ぼくも先日一人でここまで散歩に出かけたのであるが、市街地にポツンとあるにしては、やけに長い参道であった。「神社に一人でいくなんて、よほど友人のいない奴なんだな」。
神様から、そのように悪口を言われた気がする。
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